
久留米大学 文学部 社会福祉学科
助教 安永早弥香
自己紹介
はじめまして。安永早弥香と申します。出身は山口県宇部市です。大学卒業後、地元で医療ソーシャルワーカー(MSW)として勤務しました。14年前、結婚を機に長崎県の壱岐島へ移住。右も左もわからないなか、まずはこの土地のことを知るために、地域包括支援センターに3年間勤務しました。方言がわからず、壱岐の方言ガイドブック「き~ちみ・しゃべっちみ」をいつも携え、利用者宅を訪問。島民の方々に教えていただきながら、少しずつ地域に溶け込んでいきました。最終的には、島外から来た研修医に方言の通訳をするまでになりました。今では、良い思い出話です。
その後、長崎県壱岐病院で10年間、一人MSWとして勤務しました。限られた社会資源の中で、患者さんや家族を支えるだけでなく、地域の力をどう引き出せるかを模索し続ける日々でした。相談できるソーシャルワーカーが少なく、「これで良かったのだろうか」と迷うことも多く、離島で働くMSWの孤独や葛藤を強く感じていました。そんな中、恩師のスーパービジョンを受け、自分の実践を言語化し、他者との対話の中で深めていくことの大切さを学びました。この経験が、研究を志す原点となりました。
この4月から久留米大学の助教として教育現場に立ち、日々学びの連続です。医療機関とは異なる環境に戸惑うこともありますが、学生との対話から大きな力をもらっています。
研究内容
現在は「離島における社会福祉専門職の育成支援―教育プログラムとスーパービジョン体制の構築を目指して―」というテーマで研究を進めています。離島では専門職が少なく、スーパービジョンや研修を受ける機会が限られています。こうした課題を踏まえ、久留米大学修士課程では壱岐島の社会福祉士や長崎県内の離島で従事するMSWを対象に、地域資源や人材育成の現状を質的に分析しました。その成果を基に、今後は博士課程で、オンライン研修や越境学習、離島同士の交流、認定社会福祉士による伴走支援などを組み合わせた、持続的な人材育成モデルの構築を目指しています。専門職が地理的に離れていても、学びを共有し、支え合える仕組みづくりを模索しています。
当学会へのリクエスト
以前、若手研究者の交流会に参加し、大変励みになりました。研究を始めたばかりの私にとって、同じ立場の方々と悩みや工夫を共有できるこうした場は大きな支えです。CS-NETで築かれているつながりに助けられており、今後さらに充実していくことを願っています。 研究はときに孤独ですが、仲間と研究方法や実践の知恵を学び合い、励まし合えるような関係性が広がることを期待します。私自身もその一員として、共に学びを深めていきたいです。
