【第1回】研究支援委員会企画 リレー・エッセイ(富田 文子)

埼玉県立大学
富田 文子

自己紹介

 名浜の海の幸が美味しい、福島県いわき市の出身です。幼少期の転居以降は、大学卒業までを埼玉県で過ごしました。高校で社会福祉部なる部活で活動したことで、地域生活や都市開発に関心を抱き、埼玉県立大学保健医療福祉学部社会福祉学科(現、社会福祉子ども学科)に入学しました。卒業後は、東京都にある大田区役所で福祉職として入庁し、生活保護行政と障害福祉行政、特に就労支援部門に従事しました。その後、縁あって、立教大学コミュニティ福祉学部福祉学科で教員としての一歩を踏み出し、現在は母校である埼玉県立大学に戻ってきました。現在は、大田区立障がい者総合サポートセンターとの共同研究や、普通高校において特別支援を望む生徒さんへの巡回相談といった、現場で役立つ研究や実践に努めています。

研究内容と研究分野の魅力

 主な研究テーマは、「障害者雇用における賃金体系や雇用形態」です。近年は障害者の方も、多様な就労形態によって企業等で働く機会が増えています。1人でも多くの働きたい障害者の方が就労できることと同時に、今後は雇用された後のライフステージに応じた収入や、労働時間に応じた雇用形態の変更等にも視点を向けていく時期に来ていると考えて、それらの構造等について調査・研究をしています。障害のない労働者にとっても厳しい労働環境をどう改善していけるかを踏まえて、厳しいご指導・ご指摘を受けながらも研究分野にいる責任を負っていく気持ちで日々過ごしています。
 併せて、大田区立障がい者総合サポートセンターとの共同研究では、保健所や福祉事務所、相談支援事業所等の障害者の方の相談を受け、一人ひとりに合わせた障害福祉サービスにつなぐ支援者の方向けに、サービスの違いや各事業所の特徴、アセスメントのためのチェックシートを開発し、「就労支援施設ガイド大田区ジョブック」の作成することができました。現場の方と協働でき、障害者の方や支援者の方に直に役立てる研究ができたと思えたときは、この仕事に魅力を感じます。ただ、現場で働いていた時は、研究と実践との両立が難しく、研究で理想を追い求めても、現実ではそれを実現できないことに悩みました。そういった経験が、現在の研究活動に活きています。

学会へのリクエスト

 まだ現場経験の方が長く、研究者仲間と呼べる方との関係が多くないことが目下の悩みです。また、有期雇用の研究分野に飛び込んだことは、研究者で居続けられるかのみならず、一労働者としても将来に大きな不安を生みました。同じような悩みを抱いて研究に努めている若手研究者の方は少なくないのではないかと思います。同じ分野や、一緒に勉強していただける若手研究実践者と、ぜひ語り合いたいですし、こういった機会を通じて交流を継続できると嬉しく思います。