【第3回】一留学生としての立場から(孫 琳)

孫 琳

大阪市立大学都市研究プラザ 特別研究員(若手)/同志社大学大学院博士後期課程
孫 琳

自己紹介

 私は2015年に中国・上海外国語大学日本文化経済学部日本語学科を卒業した後、日本へ留学にまいりました。卒論では、日中の高齢者福祉制度に関する論文を書き、そのことをきっかけに社会福祉学に興味をもち、福祉の道に進むことになりましたが、研究者としての年月はまだ浅いです。2019年に同志社大学で修士課程を終え、現在博士後期課程の3年目となります。また、昨年の10月から、大阪市立大学都市研究プラザの特別研究員(若手)として在籍しております。この機会に、一留学生または一外国人研究者として感想を述べさせていただきます。

研究内容

 現在、社会福祉法人をはじめとする福祉サービス供給主体の公益性について研究を進めています。修士課程入学当時から、研究内容について色々悩みましたが、社会福祉を勉強しているうちに、社会福祉法人という日本特有の制度に興味をもつようになり、社会福祉法人をはじめとする福祉サービス供給主体について研究を深めたいと思いました。
 社会福祉法人は1951年に設立されてから、戦後の社会福祉の発展に大きな役割を果たしてきました。しかし、社会福祉基礎構造改革の下で福祉サービス供給主体の多様化がおこり、従来、主要な供給主体であった社会福祉法人のあり方が問われつつあります。これまで、準市場や福祉の民営化、供給主体の多元化に関する研究が多くなされ、異なる法人格をもつ供給主体を比較対象とする研究も多数あります。そこで、異なる供給主体の間に相補的な関係性をもち、供給主体の多元性と相補的関係性を基盤とした、これからの社会福祉にふさわしい供給体制を作れるのではないかと考えました。なかでも、異なる主体間の足並みを揃える要素として、公益性が重要になると考えています。
 しかし、私は実践現場の経験が少ないため、研究対象とする供給主体の実態が掴みづらいと感じています。そのため、今後の研究活動として現場への聞き取り調査を行っていきたいと思います。

これからの展望

 私からみた学会の魅力を以下の2点から述べさせていただきます。1点目は、学会誌や大会報告・フォーラムでの実践報告を通して、福祉現場について知ることができることです。社会福祉は現場に離れすぎてはいけないと考えています。こちらの学会は、実践報告が豊富で、私のような現場に離れている人でも社会福祉を実感することができ、大変有益だと思います。2点目は、地域ごとにブロックを設けられており、身近にいる研究者との交流が深まることです。全国大会だけではなく、少人数の地域ブロックの学会や情報交換会を通して、研究仲間との交流や情報共有をしやすくなると感じています。
 また、研究は一人で抱えるものではないと考えておりますので、今回のリレー・エッセイのような若手研究者の声を発信できる場や相互交流、情報共有できる場を増やしていただけると大変ありがたいと思っています。

追記:上にある写真は2年前の入学式の写真です。博士後期課程を修了するまでまだ時間がかかりそうですが、早く一人前の研究者になれるように頑張りたいと思います。最後までご高覧いただき、誠にありがとうございました。