【第15回】現場と教育の架け橋(中村 尚紀)

富山福祉短期大学社会福祉学科 講師
 中村 尚紀

自己紹介

 生まれ故郷である広島を出て、早16年。あと数年すると広島で過ごした年数よりも、県外で過ごした年数の方が長くなります。もっと言えば、高校卒業と同時に実家を離れているので、実家で過ごした年数よりも実家を離れた年数の方が既に長くなっています。
 私が進学した大学は電車が通っていない山の中にあり、多くの自然の中ではじめて一人暮らしをしました。そこで出会ったゼミの先生や友人のおかげで、学生時代は山あり谷ありの経験をすることができ、人との関わりの喜びや辛さなどを知ることができました。今、思えば私の原点が学生生活にあるのだと思います。その後は縁もゆかりもない千葉県の房総半島の総合病院で医療ソーシャルワーカーとして働き、8年前に富山県に移住。富山県でも2年半ほど一般病院で医療ソーシャルワーカーとして働き、今の短大の教員職に就きました。今振り返ると、援助職の仕事は自分の理想と現実とのギャップや様々な人の板挟みとなり、苦しい時もありましたが、その分沢山の人に支え助けられ、その経験が今の自分の研究につながっていると思います。

研究内容

 私の主な研究テーマは支援者支援と多職種連携です。支援者支援ではソーシャルワーカーの業務困難感等について、多職種連携ではソーシャルワーカーと主任介護支援専門員の連携課題等について研究をしています。この研究をテーマにしたきっかけは、現場で働いていた際、常にソーシャルワーク専門職とは何かを考えていたことにあります。何故かといえば、新人の時、先輩や上司たちのクライエントとの関わりを見て自信を喪失したり、中堅以降になれば組織人に偏りすぎたりとクライエント中心の支援ができていないのではないかと悩み、時には仕事を辞めることも考えていました。
 しかし、ソーシャルワーカーの仕事を辞めなかったのは、クライエント、同僚・上司、ゼミの先生、多職種の人たちの支えがあり、続けることができました。その経験から、自分以外にも似たような経験をしている現場の人たちに少しでも役に立てられるよう、今の研究をはじめました。

当学会へのリクエスト

 研究の進め方や研究助成金の申請方法や獲得方法など、初歩的なことに日々悩み試行錯誤しています。初期キャリア研究者が安心して研究に関する相談ができる場のセッティングを各地域でして頂けると助かります。また、子育て中の研究者は、なかなか研究の時間を確保することが難しいため、家庭と仕事(研究)のワークライフバランスのノウハウを座談会形式のような形でざっくばらんに語れる場があると嬉しいです。