【第7回】一留学生が進んできた福祉研究の道(茆 海燕)

茆 海燕

城西国際大学福祉総合学部助教
茆 海燕

自己紹介

 私は中国人留学生として来日しました。2010年4月、東洋大学大学院福祉社会デザイン研究科社会福祉専攻の修士課程に入学しました。修士課程を修了した後に、本大学院の博士後期課程に進学し、2018年3月に社会福祉学博士号を取得しました。2019年4月から現在まで城西国際大学福祉総合学部福祉総合学科の一教員として勤めています。

研究内容

 修士課程においては、「華僑高齢者の社会参加」について研究をしました。横浜中華街にいる華僑の活動クラブをフィールドとして活動に参加し、活動クラブの構成委員と仲間になってグループインタビュー調査を実施しました。調査結果から「華僑中高齢者の社会参加の実態に関する一考察」という題目の修士論文を作成しました。また、修士課程で行っていた社会参加に関する文献レビューは「高齢者の社会参加に関する文献レビュー」として投稿しました。
 博士後期課程においては、研究テーマを変え、中国農村部における地域リーダーである村幹部は地域高齢者に対してどのような支援を行っているのかを明らかにし、そのうえで、村幹部の役割と機能について研究を進めました。研究を進めるにあたって、中国農村部地域の村幹部を対象にインタビュー調査と質問紙調査を実施しました。この研究の意義として、この研究分野の一次資料となることと、中国農村部の高齢者分野、地域福祉分野に貢献していることが考えられます。
 大学院の修士・博士課程においては宝として4つを得ました。1つ目は、量的研究や質的研究、ミックス研究などの研究方法をしっかり学んだことです。2つ目は、自らフィールドを作って現地調査ができたことです。最初に自らフィールドに入って、調査協力者と信頼関係を築くことにまったく自信がなかったのですが、研究のためには必要であり、謙虚心を持って学習者として調査協力者とコミュニケーションを取り続けて皆さんと仲間になって、最終的に調査がうまくできました。3つ目は、日々先生たちの手厚い指導をいただいたことです。4つ目には、学友たちからあたたかいサポートをいただいたことです。

今後の展望

 一研究者として日中高齢者分野の研究を引き続き行います。そのため、本学会の魅力的な「国際シンポジウム」「留学生と国際比較研究のためのワークショップ」「若手研究者のためのワークショップ」に参加し、新たな国際情報を得て、留学生との交流をし、同じ研究分野の仲間を見つけてチームとして共同研究ができれば幸いと思います。