【第14回】その方らしい働き方の実現に向けて(飯干 真冬花)

ILPお茶の水医療福祉専門学校
 飯干 真冬花

自己紹介

 私は宮崎県の緑豊かな地域で育ちました。通っていた小中学校はへき地にあり、同級生たちとは兄弟姉妹のように過ごしてきました。この小中学校での9年間は、特定の顔触れで過ごすため意思疎通がしやすい半面、多様な意見に触れたり語彙を増やす機会には恵まれなかったように思います。そのため、高校進学後は人数の多さに萎縮し、自身にはない意見や発想に戸惑うこともしばしばありました。
 学生時代、人見知りで語彙力の乏しい私がなぜ福祉の道を志したのだろうと悩む時期もありましたが、福岡での様々な方との出会いや現場経験等を通し、今では困りごとを抱えた方に寄り添い、その方らしい生活の実現の支えになることができる社会福祉という職にやり甲斐と誇りを持っています。

研究内容

 私は現在、「中高年障害者に対する就労支援」をテーマに研究を行っています。世界でもトップクラスの高齢化が進んでいるわが国では障害者の高齢化が顕著となっており、近年は65歳以上の障害者の全体に占める割合が増加する傾向にあります。一方で、障害者の就労意欲では、60歳くらいまで、もしくはそれ以上まで働きたいと希望される方が年々増加しています。今後ますます就労を希望される中高年障害者が増えることが推測されるなか、私は特に知的障害者や精神障害者等の、障害によって判断能力が不十分な方に対する就労支援の必要性を感じています。「就労支援」と言っても捉え方は様々だと思いますが、私は、「就労支援」とは「支援者が障害者の主体性を尊重し、就労支援を賃労働や一般就労への移行に限定するのではなく、自分らしい働き方や暮らし方の実現に向けた支援」と捉えています。また、私は障害があっても希望があれば可能な限り働き続けることができる社会の実現は、障害者の方の社会参加やノーマライゼーションの観点からも重要だと考えています。加齢に伴いさらに判断能力が低下した障害者の方が自分らしく働き暮らすことができるよう、現場の声に耳を傾けながら研究と実践を結び付け、支援の一助になりたいと考えています。

当学会へのリクエスト

 私は学会に、他の研究者の方と交流できる場を設けていただくことをリクエストしたいです。私は研究者としてのキャリアが浅く、自身の将来性に不安を感じています。他にも、初期キャリア研究者の皆さんが抱えている悩みや不安は様々あると思いますので、互いに思いを語り合い、交流を通して出された悩みや意見を学会に発信できる仕組みづくりをしていただけるとありがたいです。