日本社会福祉学会 第71回秋季大会

大会について

学会長挨拶

日本社会福祉学会 第71回秋期大会によせて

一般社団法人日本社会福祉学会
第8期会長 空閑浩人(同志社大学)

第8期会長空閑浩人(同志社大学)

 日本社会福祉学会は、1954年5月に設立されました。設立からまもなく70周年を迎えます。昨年開催された第70回秋季大会では、新型コロナウイルスの感染状況を鑑みて、オンラインも併用しながらではありましたが、実に4年ぶりの対面開催となりました。
 そしてこの第71回大会は、全面的に対面による開催となります。私たちは2020年からのコロナ禍で、それまで当たり前のように行ってきた人と直接会って話しをするということが、決して当たり前のことではなかったという経験をしました。この度、ご参加の皆様と直接お目にかかって、この大会をご一緒できることを、まずは心から喜び、そしてその時を大切にしたいと思います。
 さて、第71回大会のテーマは、「世界の幸せをカタチにする社会福祉学の挑戦」です。コロナ禍の日本では、貧困や生活困窮、さまざまな差別や偏見、分断や孤立の問題が顕在化しました。それらの多くは、コロナ以前から私たちが暮らす社会に存在していたものであります。そして、世界に目を向ければ、依然として国や民族間の争いが続く現実があります。市井の人々の穏やかな暮らしが脅かされる状況に胸を痛める日々です。
 社会福祉学とは、「価値に基づいて連帯し、行動する学問」であると私は思っています。それは人々の福祉すなわち「幸せ」を願う学問であり、その「幸せ」がそれぞれの暮らしの中に具現化される、すなわち確かなものとして「カタチ」となるための実践の学問であると思います。昨今の各地での災害の発生、生命の危機にもかかわるような気候変動、またICTやAIの発達など、人々の生活を取り巻く社会状況のめまぐるしい動きのなかで、社会福祉学に、この学会に、そしてそこに携わる私たち一人ひとりにおいて、様々な「挑戦」が求められていると思います。
 この第71回大会が、ポスト・コロナ時代と言われる時代のなかで、「何のための社会福祉学であり、何のための学会なのか」という本学会の存在意義を問い直し、今後の展望を描くさまざまな議論と新たな挑戦の機会となることを期待しています。
 最後になりますが、第71回大会の開催にあたり、大会長の西本照真先生(武蔵野大学学長)、実行委員長の渡辺裕一先生(武蔵野大学人間学部社会福祉学科学科長)をはじめ、武蔵野大学の先生方および大学院生や学生の皆様、関係者の皆様には、多大なるご尽力を賜りました。多くの参加者を得ての大会の成功を祈念しつつ、皆様に心より感謝申し上げます。
 ありがとうございました。


大会長挨拶

第71回秋季大会 大会長
武蔵野大学 学長 西本照真

第71回秋季大会 大会長 武蔵野大学 学長 西本照真

 日本社会福祉学会第71回秋季大会を、本学武蔵野キャンパスを会場に開催していただきますことを、大変光栄に思い、心より感謝を申し上げます。
 本学は、仏教精神にもとづいた浄土真宗本願寺派の宗門関係学校として設立されました。生きとし生けるものが平和で幸せに、というのが仏教の願いです。その建学の精神を今日的に具現化していくため、2016年4月、本学は「世界の幸せをカタチにする。」(Creating Peace & Happiness for the World)という新ブランドステートメントを宣言しました。
 私は折に触れて、「2050年にあなたを取り巻く世界はどのような世界か」を問いかけています。気候変動による異常気象、災害が頻発し、資源や食料を奪い合う国家間の紛争が多発し、多くのいのちが危機を迎えています。人間が生きることそのものが、動植物のいのちをいただくことで成り立っているように、生きとし生けるものが繋がっている世界で、「自分さえよければ」が誰かから生じれば、その繋がりごと壊れてしまいます。無関心でいられる安全地帯など誰にもなく、「自分」さえも生を持続できません。
 そんな世界にしないためのたたかいこそが、これからの学問です。誰かの痛みを放っておけない感性と、「ひとりよがり」から踏み出していく勇敢さをもって、挑み続けることが必要です。本学では、2019年3月に「武蔵野大学SDGs実行宣言」を発表し、SDGs達成への様々な取り組みを進めています。困難はあっても、「世界は、幸せか」と問い続け、応え続けていかなければなりません。
 第71回秋季大会が、このような思いを同じくする社会福祉学会の会員の皆様が議論し、世界の幸せを問う場となることを願うとともに、日本社会福祉学会の今後のさらなる発展を心からお念じ申し上げます。


実行委員長挨拶

第71回秋季大会 実行委員長
武蔵野大学 人間科学部社会福祉学科 学科長 渡辺裕一

第71回秋季大会 実行委員長 武蔵野大学 人間科学部社会福祉学科 学科長 渡辺裕一

 日本社会福祉学会第71回秋季大会を武蔵野大学武蔵野キャンパスで開催させていただきますことを心より感謝申し上げます。
 新型コロナウイルスの感染拡大の影響下において大会の開催のあり方は大きな影響を受けておりますが、第71回では、各シンポジウムや特定課題セッション、口頭セッション、ポスターセッション、情報交換会のすべてを対面で開催することを目指しております。そして、これまで難しかった対面でのつながりを取り戻す機会をつくることに、挑戦したいと思います。
 さて、今回の大会テーマは、「世界の幸せをカタチにする社会福祉学の挑戦」としました。私たちが暮らす世界は今、戦争・紛争、災害などが各地で発生し、新型コロナウイルスの影響を受けています。人の暮らしの格差は拡大し、幸せとはほど遠い、多くの生きづらさを生み出しています。
 2030年までに、地球上の「誰一人取り残さない(leave no one behind)」持続可能で多様性と包摂性のある社会の実現に向けた持続可能な開発目標SDGsは、17のゴール・169のターゲットから構成されていることは、様々な面で教育に取り入れられるなどにより、多くの人々に知られるに至りました。しかし、2030年までの目標到達は困難な状況は否めず、目標そのものについても様々な意見があります。
 真にすべての人々が幸せをカタチにすることを実現するために、社会福祉学の貢献は欠かせないことは言うまでもありません。特にわが国では人権面での取り組みの弱さが指摘されています。社会福祉学の立場から現状に対して批判的に吟味し、いかにその状況に変化をもたらすかを具体的に検討していくことが必要です。
 社会福祉学は、これまでもこれからも、人々の幸せをいかに実現するかが「学」としての使命であり、今まさに一人も取り残さず幸せをカタチにするために、挑戦していくことが求められています。
 誰もが幸せをカタチに出来る社会を目指して、社会福祉学の研究者や実践者、関係者が武蔵野大学武蔵野キャンパスに一堂に会し、シンポジウムをはじめとする議論の場をつくることができることを、大変喜ばしく思っております。多くの皆様との活発な議論がなされることを、心から期待しております。
 実行委員会をはじめ、関係者一同、皆様のご参加を心からお待ち申し上げております。