日本社会福祉学会 第70回秋季大会

大会について

学会長挨拶

日本社会福祉学会 第70回秋季大会によせて

一般社団法人日本社会福祉学会 第8期会長 
空閑浩人(同志社大学)

関西福祉科学大学 社会福祉学部 学部長 津田耕一

 1954年5月9日、日本社会福祉学会の設立総会が大阪で開催され、同時に日本社会福祉学会第1回大会が行われました。そして、第70回という節目となる今大会は、本学会誕生の地である大阪で開催されます。

 日本社会福祉学会編『社会福祉学研究の50年―日本社会福祉学会のあゆみ―』(ミネルヴァ書房、2004年)によれば、第1回大会のテーマは「貧困の日本的性格」であったとされています。それ以降、時代の変遷とともに、その時々の社会状況や経済状況のなかで、様々な形で現れる「日本の貧困」がありました。そしてそれは、現在でも同様です。

 言わば、本学会の70年の歴史は、「日本の貧困」に対して、「社会福祉学」の視点から向き合い続けてきた歴史であったと言っても過言ではないと思います。そして、今日のさまざまな生活困窮や生活問題の状況など、日本における「貧困」の問題にどう向き合うのかが、あらためて私たちに問われていると思います。

 さて、第70回大会のテーマは、「新たな日常と社会福祉-『つながり』の未来を見据えて-」です。2020年からの新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、さまざまな差別や偏見、分断や孤立の問題が顕在化しました。それらの多くは、コロナ以前から私たちが暮らす社会に存在していたものであり、「つながり」を失ったあるいは失いつつあった状態で暮らしていた人々が大勢いたということです。経済的な面だけでなく、社会的、関係的にも生じる貧困状態に対して、総合的で包括的かつ継続的な対応としての理論と実践とがますます求められています。

 今回の大会が、学会創設以来、脈々と受け継がれてきた本学会の存在意義、すなわち「何のための社会福祉学であり、何のための学会なのか」という、本学会の原点回帰の機会となるとともに、今後の展望を描くさまざまな議論の機会となることを期待します。

 最後になりますが、第70回大会の開催にあたり、大会長の八田武志先生(関西福祉科学大学学長)、実行委員長の津田耕一先生(関西福祉科学大学社会福祉学部学部長)をはじめ、関西福祉科学大学の先生方および大学院生や学生の皆様、関係者の皆様には、多大なるご尽力を賜りました。感染状況を鑑みながらの準備は、本当に大変だったことと思います。心より感謝申し上げます。ありがとうございました。


大会長挨拶

第70回秋季大会 大会長
関西福祉科学大学 学長 八田武志

第70回秋季大会 大会長 関西福祉科学大学 学長 八田武志

 日本社会福祉学会第70回秋季大会を、福祉の名前を冠する本学で開催していただくことは名誉なことであり、嬉しく感謝申し上げます。未だ終息の兆しが定かではないコロナ禍の時期に大会を開催されることは、困難な中でも、社会福祉学の課題を顕在化し、解決への道筋を追究されようとする学会員皆様の姿勢に感銘いたします。

 新型コロナウイルスが広範かつ急速に、ヒトからヒトへと感染して広がり、世界的に大流行している状況は、安穏に日常生活を送ってきた私たちに、「何が起きるか分からない世界に生きている」という不安心理を充満させ、人間の弱い・醜い側面を露見させた一方で、互いに支え合う多様な人的ネットワークの存在など、強さ・美しさも確認できました。とりわけ、社会のネットワークを支えるエッセンシャルワーカーの存在やネットワークのハブとして重要な役割を果たす社会福祉を専門とする人たちの存在を再確認でき、力強く感じました。

 社会福祉学が専門であると自認する場合には、その人は社会福祉の現状の把握とその対応に携わるだけでなく、将来を見据える視座が肝要であると考えます。このことは、ウイズ・コロナの現時点からポスト・コロナの時代に向けての課題を明確にする必要性を促すものです。

 今回の第70回秋季大会において、社会福祉学の未来を見据えた諸課題が熱心に議論され、皆様の研究の充実に寄与することを願い、日本社会福祉学会の更なる発展を祈念いたします。


実行委員長挨拶

第70回秋季大会 実行委員長
関西福祉科学大学 社会福祉学部 学部長 津田耕一

関西福祉科学大学 社会福祉学部 学部長 津田耕一

 日本社会福祉学会第70回秋季大会を本学にて開催させていただきますことを心より感謝申し上げますとともに、皆様のお越しをお待ちしております。新型コロナウイルスによるパンデミックの影響により感染状況が不安定ななか、3年ぶりの対面およびオンラインとの併用による開催を目指しております。

 今回の大会のテーマは、「新たな日常と社会福祉-「つながり」の未来を見据えて-」です。私たちの生活の日常性ということについて、これまでの幾多の災害やさらには今回の新型コロナウイルスの感染拡大を機に考えさせられるようになりました。私たちの日常の生活様式が変化し、新たな生活様式の模索が迫られています。人々の生活に大きく関与している社会福祉の果たす役割はますます重要になってくるはずです。そのなかにあって、社会福祉に従事する専門職は不可欠な存在とも言えます。

 地域共生社会が謳われている今日、人と人とのつながりの重要性と一方で希薄化しているとも言われているなか、「つながり」をキーワードに社会福祉に従事する専門職の存在と役割を再考し、専門性を発揮できるようどのように支援していけばよいのかについて改めて考えていくべき時期にあると思います。社会福祉に従事する専門職はエッセンシャルワーカーであると言っても過言ではありません。専門職が専門職としての役割を果たすことが出来るよう支援するということは、日本社会福祉学会にとっても大きな使命とも言えます。

 今日の社会情勢、世の中の動きのなかで、地域共生社会に向けて社会福祉を研究する者、社会福祉の仕事に従事する者など、さまざまな立場で社会福祉に関係する者がどのような役割を果たしていけばよいのかについて、多くの皆様にご参加いただき、活発な議論がなされることを期待しております。

 実行委員会をはじめ、関係者一同、皆様のご参加を心からお待ち申し上げます。