一般社団法人日本社会福祉学会 第72回秋季大会
一般社団法人日本社会福祉学会 第72回秋季大会
一般社団法人日本社会福祉学会 第72回秋季大会

大会について

学会長挨拶

日本社会福祉学会第72回秋季大会によせて

一般社団法人日本社会福祉学会
第9期会長 和気純子(東京都立大学)

一般社団法人日本社会福祉学会 第9期会長 和気純子(東京都立大学)

 2024年も1月の能登半島地震に始まり、毎年のように更新される歴史的猛暑の夏を迎え、ようやくその終わりが見えてきた矢先、ふたたび豪雨による被害が発生しています。もはや、季節や地域を問わず、日本および世界のどこにあっても災害とは無縁でいられない状況が生まれています。また、ウクライナとロシア、中東などでの戦闘も終焉が見通せず、その光景を画面越しにみるにつけ、「日常化した異常」にいたたまれない想い抱く方も少なくないのではないでしょうか。

 こうした情勢にあって、というよりはむしろ、このような時であるからこそ、私たちは研究の歩みを止めることはできません。災害も戦争も、最も深刻な被害を受けるのは、社会的に弱い立場にいる人々であり、それは社会福祉学が向き合い、寄り添い、擁護すべき人々に他ならないからです。身近な地域においても、物価の高騰や生活困窮、蔓延する社会的孤立や孤独、人口減少・少子高齢化の一層の進展、都市と地方の格差の拡大などが社会全体に波及し、個人と社会の尊厳ある暮らしや持続可能な発展を脅かしています。グローバル化した政治、経済のもとで、結果として生み出される社会構造的な不公正を、社会福祉学は今まで以上に注視し、解決の手立てを探っていかなければなりません。そのためにも、私たちは社会福祉学の歩みを止めず、さらに前進させていく必要があります。

 このような共通認識を確認しつつ、社会福祉学を前進させる契機の一つとなるべく、社会福祉学会の第72回秋季大会が開催されます。本年は、2024年10月26日(土)~27日(日)の2日間、1日目午後は東海市芸術劇場、1日目午前と2日目は日本福祉大学東海キャンパスを会場に実施されます。本年の大会テーマは、「現代における社会福祉の本質を探る」です。まさに、上述した今日的課題をふまえつつ、社会福祉学の原点に立ち返り、その本質を問うことが、激変する現在の課題に対応するために不可欠です。その議論から、時代を超えて変わらないもの、変えるべきでないもの、時代や状況に応じて変えるべきものが明らかとなり、現代における社会福祉の本質が見極められることが期待されます。

 最後になりますが、第72回大会の開催にあたり、会長である原田正樹先生(日本福祉大学学長)、大会実行委員長である保正友子先生(日本福祉大学社会福祉学部長)をはじめ、日本福祉大学の諸先生および学生・院生の皆様、関係者の皆様には多大なご尽力を賜りました。また今大会は、対面での開催に加え、メイン会場でのシンポジウムは録画配信される予定です。一人でも多くの参加者が議論を視聴できる工夫が講じられたことも、特記すべき点です。あらためまして関係者の皆様にはこの場を借りて厚く御礼申し上げます。大会の成功を心より祈念しております。

大会長挨拶

第72回秋季大会 大会長
日本福祉大学学長 原田正樹

第72回秋季大会 大会長 日本福祉大学学長 原田正樹

 日本社会福祉学会第72回秋季大会を、本学東海キャンパスを主会場にして開催していただけることを、心より感謝を申し上げます。

 本学は1953年に開学し、学園70周年を迎えます。創立者の鈴木修学上人は、その生涯をハンセン病療養所や感化救済、戦災孤児への支援など社会事業に取り組んだ日蓮宗大乗山法音寺の山首でした。彼は「如我等無異」を本学の精神的根源としました。このことから「万人の福祉のために、真実と慈愛と献身を」を教育標語にしてきました。学園70周年では、本学が積み上げてきたこの「万人の福祉のために」という精神を、「Well-being for All」と表現し、さらなる発展につなげていきたいと考えています。

 しかし現実社会では、一層厳しい現状が突きつけられています。地球規模でのパンデミックや、武力行使を契機とした国際平和の混迷、先進国を含む相対的貧困の拡大とそれに伴う格差や分断、また社会的孤立の深刻化やセーフティネットの脆弱化が顕著になっています。

 そうしたなかにあって、私たち社会福祉関係者は現状を嘆くだけではなく、希望や可能性を見出していかなければなりません。課題解決にむけて創造的に提案し、これからの時代へ新しい挑戦をしていく必要があります。

 その際に、そもそも社会福祉とは何かという本質を探究する作業は欠かせません。例えば「制度のはざま」と言われますが、この制度のはざまを作り出してきたのは誰なのかということについて自省的かつ批判的省察とともに、コロナ禍により顕在化してきた今日的な生活不安定層への新たなセーフティネットの構築を考えることは、戦後78年、あるいは基礎構造改革以降の社会福祉を総括したところに兆しが見えてくるのではないでしょうか。

 第72回秋季大会では、こうした時代の転換期のなかで日本社会福祉学会の会員の皆様が大いに議論し、何か可能性を展望できる空間となることを願うとともに、貴学会のさらなる発展を御祈念申し上げます。

実行委員長挨拶

第72回秋季大会 実行委員長
日本福祉大学社会福祉学部学部長 保正友子

第72回秋季大会 実行委員長 日本福祉大学社会福祉学部学部長 保正友子

 日本社会福祉学会第72回秋季大会を2024年10月26日(土)・27日(日)に、東海市芸術劇場・日本福祉大学東海キャンパスで開催させていただくこととなりましたことを、心より感謝申し上げます。第70回秋季大会より対面開催が再開され、第72回秋季大会でも皆様方に直接お会いできることを嬉しく思います。

 今回の大会テーマは、「現代における社会福祉の本質を探る」です。大会校企画シンポジウムは「生活不安定層への新たなセーフティネット」をテーマに、生活不安定層が抱える困難や課題に対し、効果的な対策はどのようなものかを探っていきます。また、学会企画シンポジウムは「社会福祉における『つながること』を再考する―『つながり』と『匿名性』―」をテーマに、「匿名性」と「つながり」を切り口にして社会福祉の実践や研究について、考える機会をもちます。さらに、例年開催している特定課題セッション、口頭発表、ポスターセッション、スタートアップ・シンポジウム、留学生を対象としたワークショップ、情報交換会をプログラムに盛り込みたいと考えています

 皆様にとって、最新の研究知見を把握し、ネットワークが形成できる機会になることを願っています。

 本学社会福祉学部は、第72回秋季大会を開催する東海市に2027年度に知多半島の美浜町から移転する予定です。最寄りの太田川駅は、名古屋から名鉄で17分、校舎も駅から徒歩5分と利便性が高いです。また、中部国際空港(セントレア)からも名鉄で20分のため、どこからでもアクセスしやすい場所になります。そして、愛知県には美味しいもの(きしめん、味噌カツ、ひつまぶし等)や観光スポット(名古屋城、熱田神宮、ジブリパーク等)も沢山あります。学会前後に楽しんでいただけますと幸いです。

 皆様にとって充実した学会になりますように、スタッフ一同、心を込めて準備を進めて参りたいと思います。皆様方のご参加を心よりお待ち申し上げております。