第59回日本社会福祉学会秋季大会開催に向けて

日本社会福祉学会 第59回秋季大会 大会長
淑徳大学 学長 長谷川匡俊

 第59回秋季大会の開催に向けて、会場校として一言ご挨拶とご案内を申し上げます。淑徳大学千葉キャンパスでは、過去に1986年の第34回大会と1995年の第43回大会の2度開催させていただいています。前者は「経済大国」といわれたバブル真っただ中で、後者はその崩壊後のことでもありました。

 昨年度の大会(日本福祉大学)では、「社会保障・社会福祉の持続性回復への仕組みづくり―経済・環境・福祉の視点から―」といったテーマで、既成の社会福祉の枠組みを超えたグローバルな視点から「持続可能性」をキーワードに極めて刺激的かつ示唆的な議論が展開されました。

 今回は、大会総合テーマを「ソーシャルワークの本質を考える―原理的な問いと実践力を創り出すもの―」としました。社会経済環境が激変し、人びとの生活様式や意識の変化が顕著になるなかで、ソーシャルワークの対象とする課題もまた多様化、複雑化の度を深めています。新たな問題への適切な対応はもとよりのこと、今、問われているのは、ソーシャルワーカーがどのような価値に基づき、何を大切にしていくべきかを明確にすることではないでしょうか。加えて、実践力ある専門職養成の課題をより明確にし、在学中のソーシャルワークに関する実習や演習のみならず、卒業後の再教育や研修のシステム化を通して実践力の強化を図るなどの検討が欠かせないと考えます。

 そこで、開催校企画シンポジウムでは、「ソーシャルワーク教育における実践力養成とは-医学・看護学・社会福祉学における基礎と臨床教育-」をテーマに取り上げます。専門職の養成に関して歴史と蓄積のある医学・看護学教育にも学びながら、それぞれの学問としての固有性と臨床における実践力の養成といった共通の課題を導き出して、さらにソーシャルワーク教育における実践力養成の課題に迫っていければと期待します。記念講演で、さわやか福祉財団理事長の堀田力氏に「ソーシャルワーカー -誰のために、何をつくるのか-」と題して講演いただくのも上記のような考えに基づくものです。

 なお、少しばかり本学のPRをさせて下さい。昨秋、創立以来の円形校舎をリニューアルして「淑水記念館」がオープンいたしました。4階フロアでは創立者・長谷川良信展を開催しております。また、ささやかながら本館に「社会福祉アーカイブズ」を設置し、主に民間社会福祉施設・法人の文書・記録の保存・利用に着手したところですが、本大会に合わせて、「近代日本における感化教育の黎明期―東京感化院・千葉感化院を中心に―」のテーマで特別展示を企画しております。

 本キャンパスは手狭ですが、隣接して浄土宗大巌寺(関東十八檀林の一)があり、心落ち着く環境です。会員みなさまのご参加をお待ちいたしております。

 

日本社会福祉学会第59回秋季大会

1.大会総合テーマ

 「ソーシャルワークの本質を考える -原理的な問いと実践力を創り出すもの-」

2.大会趣旨

 ソーシャルワークの対象とする課題が多様化、複雑化するなかで、これまで取りあげてこなかった問題にどのように対応するかだけでなく、改めてソーシャルワークがどのような価値に基づき、何を大切にしていくかを明確にすることが問われている。同時に、資格と専門職養成という条件のなかで、本当に実践力ある人材を育てられているのか。入学してくる学生の学ぶ態度やキャリアに対する考えも含めて、資格化により実践力を育てることが却って難しくなっている現状がある。

 上記のような状況とは、サブテーマとしても示しているようにソーシャルワークの本質を問いかける原理的な課題への研究と同時にソーシャルワーカーとして核となるものを教育し、実践力ある専門職を育てていくためにはどうしたらいいかを問いかけることになる。前者の課題としては、改めてソーシャルワークにおける価値を明確にしながら、人間や人間と社会環境との関係を明確にし、その理解等を原理的に探究していくことが必要となる。後者としては、学生としてのソーシャルワークに関する実習や演習だけでなく、卒業後の教育や研修のシステム化や学び方を実践力養成という観点から検討する必要があろう。

 近接領域を見ると、これまで示してきたような課題は、専門職養成において歴史のある医学、看護学教育のなかから学ぶことができるのではないのだろうか。実践において連携する職種としてパートナーであるだけでなく、教育においてもパートナーとしてお互いが学びあうことで、それぞれの教育の向上に役立つことができるのと思える。特に、理念や理論を学ぶことと、実習教育において実践力をつけるという共通の課題をもつなかで、教育として大切にすることを共有化していくことは、卒業後の実践における連携にも役立つであろう。同時に、それぞれの専門教育において、なかでも資格化が遅かった社会福祉学においては学ぶものが大いにあると考えられる。

 そこで本大会では、ソーシャルワークにおける原理的な課題と実践力養成の二つの方向性を視野に入れながら検討していく。なお、大会開催校としては、特に後者の実践力の養成を取りあげ、開催校企画シンポジウムを行う。

3.大会日時

2011(平成23)年10月8日(土)~9日(日)

4.大会会場

淑徳大学 千葉キャンパス [千葉市中央区大巌寺町200]

5.主催

一般社団法人 日本社会福祉学会
日本社会福祉学会第59回秋季大会 実行委員会

6.共催

淑徳大学



お問い合わせ先

第59回秋季大会事務局(淑徳大学)
〒260-8701 千葉市中央区大巌寺町200
淑徳大学 千葉キャンパス

受付窓口

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