一般社団法人日本社会福祉学会
第4期会長 岩田 正美
第63回秋季大会は、「社会福祉学は現代社会へどのように貢献してきているのか」というテーマを掲げて、久留米大学で開催されます。戦後70年を迎えた本年は、様々な角度からの戦後日本の見直しがなされ、また平和と戦争についての議論もいつになく深められているように思います。8月15日には、社会福祉系学会連合においても、12の学会会長共同声明「戦後70年目の8月15日によせて」を出すに至りました。
戦後の歩みは、敗戦後の困苦から高度経済成長の繁栄を経て少子高齢化の現代へ、と段階的にくくられることも少なくありません。しかし、ある個人や家族の人生の軌跡に沿ってみれば、必ずしもそのような見方にだけ立つわけにはいかないでしょう。戦争による傷病や家族の喪失、高度経済成長による産業転換がもたらした失業多発地域や経済の二重構造問題、公害や様々な難病の発生などは、長くそれらの人びとや特定地域の生活に影を落とし、それは世代を超えて不可逆的な影響を与えてきていることは想像にかたくありません。今大会は、社会福祉が、はたしてそれらの個々の問題へ分け入って、人びとの尊厳や権利保障にどのような貢献ができたのかを問うところに、現代的意味があるといえましょう。
昨年度の早稲田大学における秋季大会では、「社会福祉が日本の未来をどう描けるか」をテーマとしましたが、そのテーマは、実は過去から現在に至る私たちの実践や理論の再点検なしには描けないものでした。昨年度のテーマとも結びつけながら、今回のテーマをより深められる大会になることを願っております。
秋季大会は、若手研究者のためのシンポジウム、留学生のためのワークショップ、特定課題セッション、自由課題口頭発表やポスター発表等、多彩なプログラムが組まれています。会員の皆様には是非これらに積極的に参加され、また、会員間の研究交流を深める良い機会とされることを願っております。なお、国際交流シンポジウムについては、本年度から韓国と日本が交代で開催することになりました。本年度は韓国において10月に開催されます。
最後になりましたが、大会校をお引き受けいただき、入念なご準備を頂いた久留米大学の諸先生方、学生の皆様に、深い感謝と御礼を申し上げたいと思います。